8868 スワップ契約についての考察

事実関係概略 CBスワップを合わせてみることにする。

6/27から7/11の間
SWAP1により、300円×650万株×90%~25億円が売却代金に応じて手に入る。
6/27,6/30,7/1は300円以上付けており、出来高も3千万~6千万株だったので
空売り規制でダウンティックは取れないまでも650万株は売り切ったと思われる。

7/11
SWAP2には、300億円からSWAP1の支払い金額を差し引くと書いてあるので、SWAP1がどうなろうと
とにかく300億円を引き出す内容になっている。
よって、CBと合わせれば、CBが引受会社に渡っただけとなる。
CBを株式に転換し、SWAP2を背景に下限価格一杯まで株を叩き売る。
ところが、下限価格を下回って株価が推移したため、下限価格をさらに下方修正する。

各コンポーネントの役割

1.CBの役割
 資金調達が完了したことを示すアナウンス効果により、株価の維持が期待できる。
 株を売るための玉調達(転換して得られる株券調達)。

2.VWAP連動型SWAPの役割
 CB発行、事実上SWAPとネットするため、VWAP連動アモチ型による資金調達によって最初に
 入ってくる資金は7/11となる。
 それまでの運転資金調達のための「ワラをも掴む」発行体ニーズと推測する。

3.VWAP連動アモチ型
 引受会社の収益総本山。
 250円オアベターを10%という破格のコミッションで受けた株の受注とみなせる。

私が個人的に思う問題点

SWAP契約を隠し、あたかも資金調達が完了したかに思わせるアナウンス効果。
これにより株価維持を期待させ、自分だけは株を全力で叩き売るというフロントランにあたる。

アモチ型SWAPの修正条項、175円の下限価格の根拠は何か? ←が一番の問題と思う。

このSWAPには株数は書かれておらず、300億円という金額と下限価格だけ書かれている。
300億円必達の資金調達ゆえ、250円で売ることを想定した場合、1億2千万株必要となる。

CB発行により調達した株数は300億円÷344円=87百万株。
大量保有報告により、社長の手元から消えた株券が20百万株強。

1億2千万株には、若干足りないが、swap1の売却代金と250円強で売れるかもしれないことを
勘案すれば、300億円に達する可能性があるから、250円は妥当と思われる。

一方、175円で300億円調達するには必要株数は1億7千万株に膨れ上がる。
発行済み株式数は、CB発行前で2億株ちょっとしかないこと。
大株主である社長の持ち株も既に無い状態で、さらに後6千万株調達できる見込みがあったのだろうか?
引受会社は何故175円を許容できたのか?
SWAPが途中で終わることを確信していたのではないか?

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Comments [4]

ご無沙汰してます。海外にいながら日本市場もチェックしてるんだねぇ。
恐れ入ります。(まぁ、本件は有名すぎるし、問い合わせが多そうだから、知るなという方に無理がありそうだけど)
この裏スワップの中身は仰天モノで引受会社としてこの取引を公開せずに行えるのであれば、事実上クレジットリスクを負わなくて済んでしまいますね。
一般投資家だけ、資金繰りが解決されたと勘違いして買い、撃沈というパターン。
引受け審査の際に財務状態はチェックできたはずで完全なインサイダーですから、パリバの行動が、スワップの早期終了が前提でも不思議ではありません。
今後の注目点は、東証および当局がどういった判断を下すか、でしょう。
それにしてもパリバは、レピュテーションリスクを恐れずによくこんな大胆な取引をしたなぁ、と思いますね。欲に眼がくらんだのか?社長との密約で行われた取引にしか見えません。

ワラントによるファイナンスをしなかったところが渋いです。

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