国家の人材流出対策

高税率が人材の流出を招くといった日本語の文章を見かけます。
私の個人的な見解では、日本政府は人材流出の心配はしていないし、
対策の必要もない(既に対策はうってある)と思います。

脱出する人は、下記のニュースにもあるように、外国人高額所得者。かつ金融のように立地に左右
されない業種
に限られてきます。もちろん、そのような方もいらっしゃるでしょうが、ものづくり大国、
かつ、所得平準化を行っておけば、金融業界の一部の高額所得者が逃げたところで国益に大きな
影響を与えないと踏んでいるでしょう。
金融立国というのが、いかにモロい国家体制かよくわかるニュースです。


国家経営・徴税する立場ならば、給与所得者を囲い込み、総奴隷化することが一番です。
島国、製造業国家というだけでかなり有利ですが、それ以外にも細かいところでキチっとつめてます。

囲い込み戦略として貢献しているもの

源泉徴収・・・「自動的に」給与天引き。この自動的ってのがポイントです。

 自らの所得税率、納税額、可処分所得率を意識させない
 自分の右ポケットから出して左ポケットに入れているに過ぎない年末調整や還付金でヌカ喜びさせ
 るのは高等テクニックの一つです。
 「税」と名のつかない実質の税金をどさくさに紛れて源泉徴収すると忘れてくれる人も居ます。


言語・・・その国家でしか通じない言語を国民に話していただくこと。

 言語という見えない壁が国外脱出を防いでくれます。
 英語のように色々なところで通じる言語の習得は高税率から回避を容易にし、国益に反します
 ので、中高6年学んでもいっこうに話せないような教育が効果的です。


治安・・・国内安全神話の確立。外国恐怖心の煽動。

 銃による殺人・貧困・病気・戦争などを集中的にニュースで放映し、「外国は怖い」と思っていただく
 ことです。海外旅行の被害なども効果的です。




2009-04-27 英国脱出決めるバンカーら-高額所得者への増税「もう我慢できない」

【記者:Svenja O’Donnell and Mark Deen】
4月27日(ブルームバーグ):ヘッジファンドのトレーダーでロンドン暮らし約20年のデメトリス・
エフスタシウ氏は先週、英国を去ることに決めた。ダーリング英財務相が高額所得者対象の
増税策を明らかにしたからだ。

キプロス出身で1990年にロンドンに移った38歳のエフスタシウ氏は「もはや、ここにとどまる
理由はない。今回の増税にはもう我慢できない。英政府は金融街シティーへの関心がなくな
ったようだ」と語る。

ブラウン英首相は15万ポンド(約2125万円)を超える所得を対象に、40%から50%への税
率引き上げを提案。ロンドンの新聞各紙1面には「階級闘争」といった見出しが躍り、産業界
からは英国の競争力が落ち、金融業界から優秀な人材が流出するとの懸念が出てきた。
同首相は、英紙デーリー・テレグラフの1面の漫画で旧ソ連の建国者レーニンに例えられた。

来年実施予定の所得税引き上げで、英国の最高税率はスペインやイタリア、ドイツ、フラン
ス、米国を上回る(会計事務所KPMG調べ)。また、アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)によ
れば、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中、税率の高さが19位だった英国は7位に
急浮上する。

税率引き上げは、国内総生産(GDP)の12.4%に達する見込みの財政赤字抑制に向けた
動きだ。この比率は戦時下以外では英国で過去最高。2014年3月までの5会計年度の赤
字は7030億ポンドとなる見通しだ。

英国だけではない

政府のオンライン上の税計算式によると、新たな税率の下、35万ポンドを稼ぐ金融機関
関係者は所得税と国民保険で16万ポンドを支払う。これは現在の支払額を2万2600ポン
ド上回る。英財政研究所(ロンドン)によれば、年収15万ポンド超の英人口は約35万人。

UBSのアナリスト、フィリップ・ウショワ氏は増税策には「富裕層には重税を課すという大
衆迎合的な側面がある」と述べ、国家が「銀行や金融業界に対する」怒りをあおっている
と指摘する。英ポピュラスが成人518人を対象に実施し、24日発表した世論調査によれ
ば、約57%が増税に前向きな見方を示した。

ただ英国を脱出する金融関係者は、行く先々でも税金が上がる現実を目の当たりにするか
もしれない。オバマ米大統領は最高税率の35%と33%を39.6%と36%にそれぞれに引き
上げたい意向だ。この最高税率は37万2950ドル(約3600万円)以上の所得が対象となる。

それでも、ヘッジファンド運用者のエフスタシウ氏は「2010年には景気回復が見込まれ、魅
力的な国はほかにもある。スイスやキプロス、あるいはアジアにだって行くことも可能だ。英
国に残れば、手元に残せると思っている以上の金を政府に持っていかれてしまう」と語った。

原題:London Bankers Look for Exits After ‘Last Straw’ Tax Increase(抜粋)

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2009.06.24: 各国のGlobalization指数
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2008.11.14: 国際観光動向考察による人民誘致戦略
2008.11.06: Tax Haven諸国の国としての特徴
2008.10.23: Tax Haven的観点による香港とシンガポールの違い

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Comments [4]

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