テロ・マネー ~血に染まったダイヤモンド

西アフリカでは豊富なダイヤモンド産地をめぐる勢力争いがつねに繰り広げられている。そのなかでも特に凄惨だったのが
シエラレオネとリベリアの内戦である。通常、ダイヤモンド鉱山で実際に採掘が始まるまでには、かなり巨額の先行投資
が必要だ。採掘そのものもまたコストがかかる。しかし、シエラレオネとリベリアではダイヤモンドは浅い川底で採取できる
投資する必要があるのは1個15ドルのシャベルと、"シェイクシェイク"と呼ばれる砂利を除くための簡単なふるいだけだ。
こうしたダイヤモンド産地を所有できれば、膨大な富を得る早道となる。

リベリアのチャールズ・テーラー
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リベリアは開放された米国の奴隷たちが19世紀に建国した国で、シエラレオネとの長くて穴だらけの国境はダイヤモンド
産地を走っている。将軍から大統領になったテーラーが隣国の冨を利用しようと考え始めたのは何年も前のことだ。マサ
チューセッツ州のベントレー大学で勉強した彼はのちに母国の内戦で兵を率いた。そのとき彼が考え出したのがスモール・
ボーイ・ユニット(SBU)と呼ばれる子供で編成する部隊
だ。テーラーが政治の世界に入ったのは米国が支援する腐敗
政治で知られたサミュエル・K・ドー大統領時代である。彼はまず、政府の資材調達の責任者となって90万ドルにのぼ
る政府の金を手に米国へ逃亡、1984年5月、リベリア政府の要請により、マサチューセッツ州ソマービルに収監される
が、15ヵ月後、なぜかプリマスの更正施設を脱走してリベリアへの帰国をはたし、後にドー大統領を失脚に追い込む内
戦で指導的役割をはたす。テーラーの政権は自国のダイヤモンド・金・木材といった資源をもっぱらテーラー自身や側近
たりの私腹を肥やすために利用した。一方でリベリアは極貧国家となる。そのため、テーラー自身とその家族および政府
高官たちは、国連により国外旅行を禁止されることになった。2003年6月には国連の下で開かれた特別法廷でテー
ラーは人道上の犯罪の名目で断罪された。同様の罪状で断罪されたのはセルビアのミロシェビッチ元大統領だけ
である。
国の資源収奪について調べているロンドンのNPOグローバル・ウィットネスによるとテーラーの一味はスイスの銀行に38億
ドルもの資金を隠し持っているという。

ダイヤモンドの近代史は1869年、南アフリカで83.5カラットという巨大な原石が発見されたことによって始まった。最終
的にはカットされて47.75カラットになったがこのダイヤは南アフリカの星という名で今でも知られる。1880年に英国の商
人セシル・ローズによってデビアス社が設立される
のだが、同社はたちまちにして事実上、世界のダイヤモンド取引を一手
に引き受けるまでに成長する。今日では、世界のダイヤモンド市場を牛耳るほどではなくなったが、それでも売り手としては
年間売り上げが70億ドルに達するという世界最大の規模を誇っている。しかも市場価格を一定の水準に保つために、
数十億ドル分のダイヤは買い上げられたまま市場には出回らない。また、もし好ましくない競争相手が出てきた場合、
デビアス社は手持ちのダイヤを一斉に放出し、価格を急落させて競争相手を排除してしまう。ダイヤモンドは3500年
の間その美しさが貴ばれてきた。しかし、ある歴史の専門家によると、ダイヤは"壮大な無駄"であるという。
確かに伝統がダイヤモンドに価値を与えている。しかし毎年数億個というダイヤモンドが採掘されている以上、伝統だ
けでは不十分だ。人がダイヤモンドを買い続けるには、もっと他に理由が無ければならない。そして確かに理由はある。
デビアスが理由を作り出しているのだ。デビアスは毎年2億ドルをダイヤモンドの広告に注ぎ込んでいる。その効果は絶
大で、多くの広告専門家が、デビアスの広告を歴史上最も有効な広告と認めている。

1993年10月にソマリアのモガディシオで起きた戦闘で、18人の米特殊部隊員が殺され、死体が街中を引き回される
という事件のせいで、クリントン政権は腰が引けていた。1994年に部族間の戦闘で数十万人が虐殺されたルワンダは、
結局は国際社会を動かすことができなかった。リベリアを舞台とした暴力による蛮行は放置されたままだった。リベリアの内
戦の様子は、子供の兵士やとがった棒の先に生首、女性用のかつらをつけた戦闘員、さらにマスクをつけたり、顔におどろ
おどろしい魔よけの化粧を施した兵士の顔などの映像を通して世界中に流された。

ブラッドダイヤモンドの不正取引リスクは、今のところゼロに近い。購入する石の出所を問うことは、ダイヤモンド商人の名誉
を傷つける行為とされ、タブーなのだ。そのため、国連のダイヤモンド禁輸措置にもかかわらず、シエラレオネとリベリアからは
相変わらずおおっぴらに、ベルギーのアントワープや他のダイヤモンド・センターにダイヤが密輸されている。世界中の研磨済
みのダイヤモンドの80%はアントワープを通過する
。その地区は街のほんの2-3ブロックにすぎないが、毎年数十億ドルもの
ダイヤモンドがそこで貯蔵され、カットされ、研磨されるのである。

【資源獲得競争】
2009.12.04: アジア情勢を読む地図2
2009.06.26: プーチンのロシア2
2009.03.13: 裏支配
2009.01.29: 意外に重要、イランという国
2008.11.11: ユダヤが解ると世界が見えてくる
2008.10.15: 製造業至上主義的産業構造分析
2008.09.08: いい女発見!
2008.06.19: 原油先物の取引高
2008.04.29: 世界の食糧自給率

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