年収9億円 7201 2009年有価証券報告書によるストックオプションの評価方法

ゴーン社長9億も年収あってうらやましいな~、と嫉妬心を募らせている諸君には朗報だ。
そんなに世の中甘くないということを教えてやろう。人の不幸は蜜の味だろ?

ではまず、元ネタのニュースを貼り付けよう。



Jun 23 2010 ゴーン氏8.91億円と最高、みずほ斎藤氏1.23億円-報酬表

【記者:上野英治郎】
6月23日(ブルームバーグ):前期(2010年3月期)報酬で日産自動車のカルロス・ゴーン最高経営責任者
(CEO)が8億9100万円を受け取る
ことが、この日の株主総会で明らかになった。現時点で日本の上場企業
の最高額になる。今春の内閣府令改正で日本企業は報酬総額1億円以上の役員名の有証記載が義務付け
られた。前期の日本株は日経平均で37%、東証株価指数(TOPIX)で27%上昇していた。

【日本企業の前期個別報酬額一覧】(単位:億円、最高額の大きい順)
企業名 役員名 総額(報酬+賞与+ストックオプション+他)
日産自動車(前期株価騰落率129%上昇)
・ゴーンCEO 8.91
・タバレス副社長 1.98
・ドッジ副社長 1.76
・志賀俊之COO 1.34
・西川廣人副社長 1.05
・山下光彦副社長 1.02
ソニー(同79%上昇)
・ストリンガーCEO 8.17 (3.10+0.00+4.07+1.00)
・中鉢良治副会長 2.15 (0.80+0.00+0.65+0.70)
・大根田伸行副社長 1.64 (0.50+0.00+0.24+0.90)
神戸製鋼所(60%上昇)
・水越浩士会長 2.73 (0.14+0.00+0.00+2.59)
ミスミグループ(62%上昇)
・三枝匡会長 2.63 (1.20+0.82+0.37+0.24)
・高家正行社長 1.21 (0.55+0.38+0.17+0.11)
三井物産(59%上昇)
・大橋信夫会長 1.90 (0.26+0.00+0.00+1.64)
・飯島彰己専務 1.35 (1.09+0.26+0.00+0.00)
・槍田松瑩社長 1.32 (1.06+0.26+0.00+0.00)

住友商事(28%上昇)
・加藤進社長 1.86 (0.87+0.83+0.16+0.00)
・岡素之会長 1.83 (0.83+0.83+0.16+0.00)
・大森一夫副社長 1.28 (0.66+0.51+0.11+0.00)
アステラス製薬(12%上昇)
・野木森雅郁社長 1.80 (1.19+0.17+0.43+0.00)
・竹中登一会長 1.52 (1.00+0.14+0.36+0.00)
シンプレクス・テクノロジー(51%上昇)
・金子英樹社長 1.78 (0.80+0.93+0.05+0.00)
フィールズ(23%下落)
・山本英俊会長 1.69 (1.69+0.00+0.00+0.00)
ヤフー(32%上昇)
・井上雅博社長 1.59 (0.60+0.84+0.13+0.00)
HOYA(33%上昇)
・鈴木洋CEO 1.53 (0.69+0.00+0.18+0.66)
・浜田宏COO 1.15 (0.50+0.00+0.17+0.47)
・江間賢二CFO 1.01 (0.48+0.00+0.08+0.44)
新生銀行(14%上昇)
・クック専務 1.49 (0.54+0.00+0.00+0.95)
・グプタ専務 1.16 (1.03+0.00+0.03+0.10)
・デュイベディ専務 1.13 (0.90+0.00+0.23+0.00)
・ソン専務 1.10 (0.86+0.00+0.24+0.00)
資生堂(41%上昇)
・フィッシャー専務 1.41 (0.77+0.50+0.13+0.00)
・前田新造社長 1.21 (0.49+0.35+0.36+0.00)
・岩田喜美枝副社長 0.66 (0.37+0.18+0.10+0.00)
エーザイ(16%上昇)
・コーツ執行役 1.40 (0.50+0.52+0.01+0.35)
・内藤晴夫社長 1.36 (0.79+0.23+0.07+0.27)
バンダイナムコホールディングス(7.3%下落)
・上野和典取締役 1.37 (0.75+0.61+0.00+0.00)
東祥(6.3%上昇)
・沓名俊裕社長 1.36 (1.11+0.00+0.00+0.25)
住友金属工業(44%上昇)
・下妻博会長 1.34 (1.34+0.00+0.00+0.00)
・友野宏社長 1.22 (1.22+0.00+0.00+0.00)
コロワイド(9.7%下落)
・蔵人金男会長兼社長 1.34 (1.34+0.00+0.00+0.00)
みずほフィナンシャルグループ(1.6%下落)
・斎藤宏コーポ会長 1.23 (0.80+0.00+0.29+0.13)
・佐藤康博コーポ頭取 1.22 (0.84+0.00+0.30+0.08)
・塚本隆史社長 1.14 (0.84+0.00+0.30+0.00)
・西堀利銀行頭取 1.14 (0.84+0.00+0.30+0.00)
・前田晃伸会長 1.10 (0.80+0.00+0.29+0.00)
・杉山清次銀行会長 1.10 (0.80+0.00+0.29+0.00)
ステラケミファ(116%上昇)
・深田純子会長 1.21 (1.10+0.00+0.00+0.11)
オムロン(88%上昇)
・作田久男社長 1.07 (0.80+0.24+0.03+0.00)
・立石義雄会長 1.04 (0.89+0.12+0.03+0.00)
東芝(90%上昇)
・西田厚聡会長 1.07 (1.03+0.00+0.00+0.04)
タイヨーエレック(62%上昇)
・佐藤昭治会長 1.06 (0.64+0.21+0.00+0.21)
東京エレクトロン(70%上昇)
・東哲郎会長 0.93 (0.57+0.00+0.36+0.00)
・竹中博司社長 0.56 (0.43+0.00+0.13+0.00)
(ブルームバーグ・ニュースが有価証券報告書などから集計、肩書きは当時で退任役員を含む、
他は業績連動報酬や退職金など)





2010年の有価証券報告書をまだ読んでいないが、日産の右肩下がりの株価の実績から考えて、ゴーン氏の"収入"のうちの
ストックオプション部分が、課税所得計算時に使われるであろう実現益ではなさそう
であるということが一つ挙げられよう。

>ブルームバーグ・ニュースが有価証券報告書などから集計

推定年収を計算する時に、会計監査上使っているストックオプションの評価値を用いているとした場合、株価次第でその推定
年収のオプション部分は泡と消え、実際にはもらえない
ということがありうる。特に日産の場合、ストックオプションの行使価格
はATMから若干のITMに設定されているので、株価が大幅に下落した場合、権利はいつまでも行使できない。つまり、ストック
オプションはいつまでも現金化できないということになる。有価証券報告を読めば書いてあるが過去に発行したストックオプシ
ョンは、行使価格が一番低いものでも932円。現在まで持ってしまっていたら行使することはできない。酷いものだと行使価格
1500円以上のオプションまであり、期間内の行使はほとんど絶望的とも思えるだろう?
しかし、これは日産の株主にとっては非常に好ましいストックオプションの付与である。なぜならば株主と同じ目線、株主が儲
かっている時に初めてボーナスがもらえる仕組みだからである。同じストックオプションであっても1円行使価格で行使できな
い期間が短いようなオプションを大量発行している会社は、経営陣が将来の株価に自信を持っていない証拠である。

ストックオプションが実現化するのは、経営陣の努力と運次第であるが、現時点での評価、有価証券報告書で計算されている
オフィシャルな価格がどの程度の精度を持っているのか検証
していこう。

09年の有価証券報告書より抜粋してみよう。

StockOptionEvaluation.png
どーだー?
なーんか変じゃない?

配当40円。まぁ、良かろう。平成19年時点では、それなりに配当あったからな。

無リスク利子率 5年10ヶ月で1.14%? JGBは逆イールドなのか?
{(5+10÷12)×1.14 - 5.5×1.3}÷(4/12)
って{}中が既にマイナスでForward Rateマイナス?
これ本当? 簡単な金利計算くらい、真面目にやろうよ。

具体的にこのオプションの概要も見てみよう。

H19StockOptionOverview.png

行使価格は、第一回が短いから1205円、第二回が975円、07年の6月の株価は大体1300円程度、インザマネーだな。
株価変動性って、もうわかりにくいからVolatilityって書いちゃおうよ。
一回が92%、二回が75%とするとSkewはそれなりにリアルに反映されているかのようにも思えるが、これどうやって確認した
のかね? 「過去の株価実績を参考に」とか書いてるしさ、リスクフリーの計算見てると、スキューネスを考慮したというより計算
がおぼつかなくて、たまたまこうなったようにも推測できるぞ。

使用した評価技法。"評価技法"だよ。オリジナルは評価メソッドとか書いてあったのかな。

>均等に行使されるものと推定し??

だったら二項モデルなんかいらねーべよ。Europeanの和で計算してるんだろ?
それに11年のオプションなんだろ? 少しずつ均等に行使して残存5年半だと? 
半分の期間のオプショナリティを放棄した評価は妥当なのか?

敢えて名前は挙げないが、超大手の監査法人だぞ。大丈夫か?

な? ちょっと見ただけで突っ込みどころ満載だろ? 

民の給料とは確かに違うかもしれないが、高額所得者にはそれなりのリスク、そして見かけほど確かな収入ではないということ
がおわかりいただけたであろう。


【個別株デリバティブ】
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