警視庁ウラ金担当

黒木昭雄氏:元警視庁警察官だったジャーナリストで、警察を愛するが故に、その腐敗を嘆きつつ追求している。徹底
追求に及び腰な私に彼が言った。
「現場で本当に汗水たらしてがんばっている警察官がバカを見ないように組織を変えて行こうじゃありませんか。僕らが
やらなきゃ警視庁は中から変わりませんよ」私はこの一言で意を強くした。

機動隊の部隊出勤などに対して国から機動隊本人に支払われる旅費を、隊員がその根拠法令をまったく知らないことに
乗じて、警備部が隊員には何も知らせずに隊員の名前で請求受領し、組織でプール
しており、その手法を継続させるた
めに発足したプロジェクトチームに私が入ったということなのだ。最初に専従のプロジェクトチームが必要な理由を警備第
一課長や警備部長に説明するための資料があった。そしてこれを読んだだけで、警備部にはカネがあるという噂がなぜ
警視庁内で囁かれているのか、そして極秘にプロジェクトチームを作る必要があるのかという疑問が氷解したと同時に、
15年間会計処理のさまざまな裏技に携わってきた私でも驚愕する事実を知ってしまったのである。

大蔵省が現在開発中の国費会計システム(通称アダムス)が1998年度から運用開始となり、それに伴って国の債務の
支払方法が、従来の小切手に替わって債権者の口座に振り込む方法となるから、機動隊旅費についても隊員個人の
口座に直接振り込まれるようになることが判明した。この制度が始まることは、警備部にとって大きな問題である。
第一に、個人の口座に毎月2万円から5万円の旅費が振り込まれるからには、事前に隊員にその金は旅費であるという
説明をせざるを得ず、説明如何によっては、隊員に、今まではどうなっていたんだという疑念を抱かせる恐れがあること。
第二に、集中再配分方式とは言いながらも、現状では隊員に還元している金額は総額の1~3割であり、残りはいわゆる
運営資金として警備部がさまざまな用途に使用しているのが現実であることから、個人口座振込後は、この運営資金が
調達できなくなることである。
この制度は国費全体に関わる大蔵省の方針であるから、機動隊旅費だけが例外となることは考えられず、早急に前期二
つの問題点をクリアーするため、これに専従してあたるプロジェクトチームの結成が必要である。

捜査に使われない捜査費

まず、その月が終わってから、その月の捜査費使いきり計画を立てる。署内の協力者により集まった居酒屋や喫茶店など
の領収書からシナリオを組み立てるのである。警察の伝家の宝刀である「捜査上の秘密」を振りかざせるから、このシナリオ
そのものについては監査検査やましてや情報公開などまったく怖くはない
。ただし、書類上のミスは追求される恐れがある
から油断はできない。

領収書の住所・氏名、情報提供者本人の領収書を捜査員に書かせるわけだが、領収書に使う架空の住所・氏名の選定が
ある。ひとつは、基本的には手持ちの印鑑がある姓でなければならないということである。警察署の各課に限らず、捜査費
を扱う全ての部署には何故か数百本という数の印鑑が保管されている。転勤や退職をした人が置いていったものや、必要
に迫られて購入したものなどがたまったものだと思われるが、いずれにしても領収書には当然印鑑が必要だから、姓は何
でも良いというわけではない。ふたつめはまったくデタラメな住所・氏名は使えないということである。6丁目までしかない街
なのに7丁目などと書いてしまうとたまたま監査員がその町にすんでいてうそが発覚してしまうなどの危険があるからであ
る。この二つの問題をクリアーして、信憑性に疑問を抱かせない領収書を偽造するために使われるもっともポピュラーなもの
が電話帳である。

ウラ金になった捜査費は拳銃の購入代金としても使われる。ここで言っているのは、押収するための拳銃を暴力団員など
から買うということであり、警察官が所持している正規の拳銃の意味ではもちろんない。捜査費は本来情報料だから、暴力
団員からの拳銃密売情報に捜査費を払って取引現場をおさえて摘発できたとしたら立派な捜査費の使途と言うことができ
るが、それは所詮ドラマの世界の話であり、現実には実績のノルマを課せられた捜査員が、子飼いのスパイなどに「○○駅
のコインロッカーに一丁頼む」などと声をかけ、あたかも密告があったかのような演出でコインロッカーにガサを入れて摘発

となる。これがいわゆる「首無し銃」と呼ばれるもので、ブツだけあってその背後にいる人間の顔はわからないということだ。

資金前渡
官庁における公費の支出手続きは、相手の債務の履行を確認してから請求書を徴して支払いをするという原則で安易な前
払い支出を防ぎ、出納機関という独立の部署から末端の債権者に直接金を振り込むという原則で現金が動くという危険を防
いでいるが、この例外が資金前渡である。この制度は、主に相手方の都合で即時決済を必要とする場合の支払方法である。
事務用品一つ買う場合であっても原則どおり契約手続きによらねばならない。領収書を支払い担当部署に提出しなければな
らない。そしてその際現金が余った場合は支払い担当部署に返さなければならない。外務省の外交機密費には、この領収
書による清算を必要としない。現実における資金前渡の運用は、機密費的な使われ方が件数でも金額でも最も大きな割合
を占めており、特に外交・防衛・公安・捜査を担う組織ではこれが顕著である。

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