自作 近未来小説 我が競争 ~第三次世界大戦の勝者と人類の進化

先進経済大国で稀に見る男尊女卑国家であったその国は、今では全く逆になり、内閣・国会議員・上場企業社長
は95%が女性、ちなみに首相も女性である。

国会で、何が起こるか想像ができよう。
そう、100種の先物しか取引されないということは、残りの6千万人の男はブーヤオなんではないか?
という議論がなされたのである。
生殖機能を封じられ、企業活動においても、女性と明確に差を出せないでいる男たち。
その男たちの種子先物が取引されないことがその能力の最たる証明である。

この議論が起こったそもそものきっかけは優勢の法則政策で100種の優秀な遺伝子からなる子供たちで
形成されるものの、度重なる違法交配の取締りの強化で、国家財政は一向に好転していなかったからである。

「諸悪の根源は、平和主義にある。原点回帰し、男たちは戦場で戦い、生き残った優秀な男だけ、遺伝子を
残すべきなのだ。」
と女性首相が徴兵制を表明した。実に、「諸悪の根源は一夫一婦制にある」発言から40年が過ぎていた。

帝国主義教育を再スタートさせ、義務教育は4歳から。最初の授業は切腹の練習である。
同時に経済大国の知識と技術を結集し、水面下で戦車・戦闘機・核兵器・原子力潜水艦などを開発しながら
昔奪われた北の近隣諸島に1000万人の竹やり部隊を突入させ、近代兵器で武装する相手国に打ち勝ってしまった。

悲劇の竹やり部隊の生き残りは実に7人であったが、7人の侍として映画化されただけでなく、種子先物
の上場益で巨万の富を得たサクセスストーリーがテレビで全国に放映された

この結果、眠れる5000万人の男たちが、「我こそが、次の種子先物長者なり」と息巻いた。
首相は、この段階で国連を脱退し、ついに、世界征服宣言を行い世界大戦に突入した。

金で雇われた軍が最弱なのは言うまでも無い。かつて最強といわれた宗教に基づいた軍も
生物としての本能、子孫を残すために戦っているこの国の軍の前では、問題にならなかった
のである。

世界大戦の結果、「夫婦間交配禁止法」は、世界中の国で採用されることとなり、世界中の国が同じ道を歩んだ。
そして、ありとあらゆる産業・学問が女性中心主義に発展していった。

その結果、世界中の女性が、未だに不平等に感じていることの解決に取り組んだ。
自らの体内に子供が宿るという宿命から逃れ、生物学的にも男と対等になるという当然の願望だった。
世界の叡智を結集し研究した結果、卵子を毎月排卵してしまわずに取り出し、体外で受精させる方法が
開発された。
ついに不平等が解消したのである。

と同時に今度は何が起こるだろうか?
そう、卵子先物である。卵子先物は、月に一つしかSettleできないという希少価値があったものの、
今まで市場化されておらず価値が不明確だった女性自身の価値をガラス張りにしてしまったのである。

その結果、男女平等にはならず、世界長者番付は、男性がトップに返り咲いた。
なぜならば、その時代、長者番付一位は、種子長者すなわちリーディングサイアーと呼ばれていた。
数に限りがある卵子先物の出来高は薄く、先物上場益もまた絶対的に小さかったことが要因である。

21世紀初頭までは、資本主義経済の台頭により、能力に応じた「富」の分配と局在化のみが存在した
世界であった。
現在では、能力に応じた「生殖」の分配と局在化が、「富」と等価な意味を持つようになった

こうして、人間は数百年に及ぶ近代化における進化の停滞に終止符を打った。

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