史上最大のボロ儲け ~一人で笑うポールソン 5/6

8月、金融市場はますます脆弱化しているようだった。ポールソンはその年100億ドルという驚異的な利益を上げていた。という
ことはその裏で誰が莫大な損失を被っているのか? どの企業が深刻な問題をひた隠しにしているのか? そしてその先にはどんな
結果が待っているのか? ポールソンは秘密を握っていたのだ。数ヶ月前からポールソンは数百億ドル分もの不良住宅ローンの
CDSがどうしてこれほど簡単に手に入るのか考えていた。自分が数百億ドル分のCDSを購入していると言うことはそれを売って
いる企業がある
ということだ。それはどこなのだろう? 住宅市場が崩壊したらその企業はどうなるだろうか?ポールソンたち投資家
サブプライムローンのCDSを売っているのは投資銀行なのだ。その年の大半にわたりABX指数が大幅に下落したことを喜んだ。
ところが、サブプライムローンから組成されたCDOなどの証券の価格はほとんど動きを見せていない。ポールソンはそれをこれら証
券がABX指数ほど頻繁に取引されていないため、価格の推移にタイムラグがあるからだと考えていた。しかし投資銀行は、自社
が保有するCDOの莫大な損失を計上しなければならない状況を避けるため、こうした形でCDOの評価額を水増ししていた

である。ホインはもう一人のアナリストとともに、銀行がどれくらいCDOや住宅ローン債権を保有しているか調べた。サブプライムロ
ーンから、オルトAローン(サブプライムとプライムローンの中間)、ジャンボローン(不動産価格の高い地域で提供された高額の
住宅ローン)、プライムローンまで、あらゆる種類のローンがその対象である。そして、損害推定額を合計して当該銀行の資産と
比較し、問題が発生しそうな企業を瞬く間に突き止めた。さらに二人は、各銀行の資産の中に値付けや売却の難しい資産(
レベル2資産あるいはレベル3資産と呼ばれるもの)がどれぐらいあるかを算出した。これも銀行によってはデメリットになる。
 ポールソンたちが気づいた新たな事実はまだあった。CDSの売り手には、参照債務が不履行になった時に支払う現金を前も
って用意しておく必要が無かった。つまり売り手は、サブプライムローン担保証券10億ドル分のCDSを売ったとしても10億ドル
の現金を用意しておく必要が無いのだ。これらの金融会社に対するCDSが安く売られていると言う話をローゼンバーグから聞いた
ポールソンは、住宅ローン関連のCDSと同じだと直感した。マイナス面はわずかしかなく、圧倒的にプラス面のほうが大きい。
そこでポールソンはあらゆる金融会社のCDSを購入し始めた。ベアースターンズの債務1億ドル分のCDSがたった20万ドル?
買いだ!リーマンブラザーズに対するCDSが40万ドル?それも買いだ。UBS、クレディ・スイス、そのほか金融大手なら何でも?
もちろん。いずれも保険の対象となる債務の0.5%以下の値段で購入することができた。まるでティファニーの店頭に並ぶ最高
級品を1ドルショップで買っているようなものである。タラントは最悪の時代が起こることを確信した。「信じられない。どこもかしこ
もそんなにローンや証券を持っていたのか」するとポールソンが会話の内容を周りに聞かれないようにタラントに体を寄せてきた。
「それだけじゃないんだ」ポールソンはひそひそ声で言った。銀行が住宅ローンのCDSの大半を顧客に売りさばいていたとしても
損失は莫大な額に上るだろうから、顧客はその影響を受けないではいられないだろう。その結果、銀行はさらに窮地に陥るはず
だ。「君はどうするつもりだ?」タラントが尋ねた。ポールソンは打ち明けた。自分の会社は取引がある全ての投資銀行の債務に
対してCDSを購入した。こうしておけば投資銀行が経営に行き詰まり、その口座から自分の儲けを引き出すことができなくなっ
たとしても利益を上げられる
はずだ。「あの自信過剰なやつらには真似できない取引だろう?」ポールソンは肩をすくめ、にやりと
しながら言った。

>うーん、すごい。ここ、とても重要な部分ね。不動産下落だけに賭けていたのではないということ。
>その後、金融機関はどうなるか? そしてデリバティブ契約とは何か? を意識していたことになる。

2007年秋、ついにドミノが倒れ始めた。住宅ローンの支払いに困る借り手が増えるにつれ、格付け会社はあらゆる種類の
住宅ローンの格付けを引き下げていった。結局サブプライムローンは危険な代物だったのだ。10月、ムーディーズは不動産
担保証券330億ドル分の格下げした。11月半ばにはさらにCDOトランシェ1530億ドル分の格付けを落とした。
会社は全てのファンドの利益およそ150億ドルの20%を取得できることになっていた。それにポールソン自身、クレジットファン
ドに多額の出資をしていた。その結果、2007年にポールソンが手にした額はおよそ40億ドルに達した。1年間に支払われ
た額としては金融史上最大である。

【個別株デリバティブ】
2010.11.05: 米ゴールドマン、バフェット氏への50億ドル返済を検討
2010.06.23: 年収9億円 7201 2009年有価証券報告書によるストックオプションの評価方法
2010.04.21: AIGの前社長が株を売った
2009.11.25: 米スリーコムのオプション取引、SECが調査-HP買収発表前に急増
2008.09.10: Put Option Ecstasy @LEH US
2008.08.18: 8868 スワップ契約についての考察
2008.07.21: GS オプション株価予想の結果
2008.07.02: 私好みの株価予想
2008.04.24: ESOP Valuation (従業員の視点から)
2008.04.12: 一族家における投資教育 ~他社株転換債

Track Back

Track Back URL

コメントする

公開されません

(いくつかのHTMLタグ(a, strong, ul, ol, liなど)が使えます)


画像の中に見える文字を入力してください。

このページの上部へ

Ad

LINEスタンプ「カバコ」公開されました!

top

プロフィール

投資一族の長


サイト内検索

最近のコメント

Twitter Updates