ギリシア神話 神々と英雄に出会う11/17 ~オリュンピア競技場

オリュンピアのゼウス神殿

オリュンピアはペロポンネソス半島の北西のイオニア海に面したエリス地方というところにある。アテネとスパルタが覇権を争ったペロポンネソス戦争はよく知られているので、ペロポンネソスと聞くとただちにスパルタという都市名が連想される。スパルタはペロポンネソス半島の南部に位置するラコニア地方にある。一方オリュンピアのほうはラコニア地方の北西に位置するエリス地方にあり、ギリシアの最高神の聖地であった。ゼウスを祭る壮麗な神殿が聖書にオリュンピアに建てられたのは前470年から前456年頃のことで、往時には36本もの巨大な大理石の柱で支えられた壮大な建物であったが、現在ではその地に残る遺構からかつての威容のほどを想像するしかない。ゼウス神殿には、ゼウス像が本尊として安置されていた。高さが12メートル以上もあったこの神像は、古代世界の七不思議の一つと見なされている。その制作者ペイディアス(前490/85年頃-前430頃)は、アテナイのパルテノン神殿のアテナ女神像を制作し、その後、前438年以降にオリュンピアに移ってゼウス神殿のための礼拝用の像を作ったという。パルテノン神殿のアテナ像もオリュンピアのゼウス像も黄金と象牙でできていたが、残念ながら2体ともオリジナルは失われてしまっている。


オリンピックの起源の神話

 ピサの町の王オイノマオスには、ヒッポダメイアという娘がいた。しかし王は娘を嫁にやりたがらなかった。娘を溺愛していたためとも、娘の夫となる人物に殺されるという予言を恐れたためとも伝えられる。娘に求婚者が現れると、オイノマオス王は戦車競争を求婚者の要求するのであるが、それは一風変わった命がけのレースであった。まず、求婚者は王女ヒッポダメイアを戦車に載せると、王よりも一足先に出発する。次に王のほうはその後、ゼウスに生贄を捧げ、おもむろに武装し、求婚者よりもずっと遅れてスタートを切る。先に出発した求婚者は、そのまま王に追いつかれずに目的地のコリントスまで無事にたどり着くならば、王女との結婚が許される。けれども途中で王女の父親に追いつかれると、その求婚者はこの戦車競走に敗れたことになり、情け容赦なく生命を奪われるのであった。後から出発するという不利な条件にもかかわらず、オイノマオス王は常に余裕たっぷりに途中で求婚者に追いついた。なぜなら王は戦の神アレスの子で、特別速い戦車と駿馬を父親から授かっていたからである。
 12-3人の求婚者がこの残忍なレースで命を落とした頃、ペロプスという若者がピサにやって来た。ペロプスはタンタロスの息子である。非道な父親は息子を料理して神々の食卓に供したが、神々の特別なはからないによってペロプスは蘇ったのである。彼は南ギリシアの大半の治める王になり、ペロプスの統治が及んだ大きな半島は、ペロポンネソスと呼ばれるようになった。ペロプスがヒッポダメイアとの結婚を求めて、果敢にもオイノマオス王との戦車競走に挑んだのである。王女ヒッポダメイアは美貌の青年ペロプスに恋心を抱き、この若者と結婚したいと願った。そこで王女は父オイノマオスの御者を説き伏せて、王の戦車の車輪を止めておく青銅のくさびを蠟の釘に取り替えさせた。蠟は熱で溶けてしまうため、走行中に戦車の車輪が外れる危険が十分に予測される。御者のミュルティロスは、王への密かな裏切りを王女に承諾した。御者が王女を慕っていたためとも、あるいは、勝利のあかつきには王国を半分与えるとペロプスが御者を買収したためとも言われる。いずれにせよ、御者ミュルティロスの反逆行為によって、王の戦車の車輪はレースなかばで壊れる。オイノマオス王は御者に欺かれたことに気づき、彼を呪いながらなくなった。王が亡くなると、その例を慰めるために葬礼競技会を開くのが古代ギリシアの慣習であった。

古代オリンピックの開始は前776年にさかのぼるが、これはあくまで記録に残っているものにすぎず、それ以前から記録にはない非公式な競技会が行われていたようである。前9世紀頃のエリス地方の王イピトスが内戦を憂慮してデルポイの信託を伺い、競技会を再開して停戦せよと告げられてオリンピックが復活したという言い伝えもある。ある伝説によるとペロプスが創設した競技会はいったんすたれ、その後、名高い英雄ヘラクレスが再興したという。ヘラクレスがオリュンピアにゼウスの聖域を開き、ペロプスの墓のかたわらに二柱ずつの神々の祭壇を6個築いて運動競技会を創設したと伝える。

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