眞説 光クラブ事件 2/3 ~女性遍歴

「山崎さん、あなたに惚れて仕様がなかったという女はありましたか」という問いに答えた部分である。
「ないわけではありませんが、そういうのは私の方で好かないのです。不思議なものでございますね。というのは理想の女性には愛されないということが結論でございましょう。つまり理想が自分以上に高いというわけです。いや自分より高いというよりもパーセンテージからいえば男の良き性格にくらべて、女のよき性格を持ったものが少ないのでしょう。だから私と同じ程度の人は私より以上の人に行くべきであり、私のところに来るのは常に私より以下のものだということになるのでございまして、女はつねに男よりも劣等だということでしょう。

概ね同意ですが、対して私も私見を述べさせていただきますと、私よりも優秀な女性というと印象がよくないので、私の劣等を許容していただける女性の方が良いですね。しかしよく考えると、劣等な私と時間を共有することの意義をあまり考えてらっしゃらない女性ということになり・・・、いわゆる「お金持ちが好きな女」と同様の矛盾を抱えることになります。金持ちがなぜ金持ちかって、お前みたいな女に無駄金を使ってこなかったからだろ・・・とつっこむくらいなら、私も自分でつっこまないと。

「合意は拘束されるべき」とこだわりつづけるのは、実はひとりの女性に手ひどい裏切りにあったからだとわかるのだが、とくに女性のあまりにも露骨な演技に欺かれたという悔しさを元にしていたのである。S・Kは光クラブでの社長秘書募集という新聞広告に応じて訪れた22歳の女性である。「才気煥発、よく身の回りまで気のつく」女性だったからという。「求む秘書、近代的教養アル女性、容姿端麗ノコト」というコピーを出したのだが、実際、S・Kは世間で言う美人のタイプでもあった。「彼女を処女とのみ信じ、彼女の親切さを自分個人にのみ対するものと思ったところに私の誤算があったのだ」と嘆くことになる。
Hikari_Club.jpg
ホテルの一室で山崎はそれとなく、彼女に関係を迫る。当時のGHQの検閲を通らなかった部分があるように思える。

私は戦車のようにただ力で押した。
唇を離すと、K子は喘ぎながら
「あたしキライよ」
といつた。
「僕がキライなの、それともこんなことが?」
「社長さんがです」
それをきくと、私は私の実力で、K子を好きにしたいと欲望にかられた。
渾身の力をこめて、遮二無二行動した。
反抗にあえば遭うほど、快いものが私の血管をズキズキと突っ走った。
(私は偽悪者より)

K子は山崎の前では初めての体験にふるえながら次のような言を吐いた。「こんなことが人間社会で普通だとしたら、わたし、今日家へ帰ってから、お母さんの顔がきっと醜く見えるわネ」
山崎は「ああ、醜いのはK子、お前だ。そのとき、すでに妊娠3ヶ月の体であったとは・・・それどころか私は、彼女に山本という下級税務吏の恋人がいることさえ知らなかったのだ。私は地獄の果てまで遍歴するファウストだ。私はドン・キホーテではない。」と罵っている。
山崎はK子についての詳細な調査を探偵事務所に依頼する。報告書には山崎が慄然とする内容が書かれていた。山本某とS・Kはそれぞれ中央大学予科、ドレスメーカー女学院在学中から交際し、美松ダンスホールに同伴で来店をくり返していたという。昭和23年5月、山本は京橋税務署に勤務する身となったが、同年10月にはふたりで4日間にわたり熱海に旅行するなどして、それが両家の両親に洩れて監視状態に置かれるも、「両人は何等の反省無く益々同伴回を重ねて情欲を充たしS・Kは昨今山本の借間たる根津須賀町の某方に往々宿泊、山本と同衾するに至る」 S・Kは山本の成績をあえるために光クラブに入り、スパイ活動のようなことをしている伺える報告もある。山本の光クラブに対する感情という項があり、そこでは「公的には不愉快とは思わぬが、個人的にあることから不愉快に思っている」とも書かれていて、これは山崎のS・Kとの性交渉をさしているとも窺える記述であった。

「君の恋人の山本君の手足をもごうが、片輪にしようが、僕の自由だ。そうしたら、君はどうする」と詰め寄っている。K子はあっさり答えた。
「あたしは何も最初から処女だとか未婚者だとか言いませんでしたわ。あたしに恋人があったって、その人と結婚しようと、これもあたしの自由ですわ。」すると山崎はすさまじい言で罵った。
「あいつの自由を奪ったら、君はきっと転落してパンパンになるだろう。そしたら、パンパンの君を僕が買ってやる」

山崎は投じの同年代の者がそうであるように、北海道で遊郭にあがって性を覚えた。その後はなんども遊郭にかよったという、その分だけ処女へのあこがれが強かった。

ホラホラ・・・無理やりやるからこういうことになるんだよ・・・俺はそういうことはしないぞぇ。ございます調なんだろ? だったら「キライ」なんて言われたら、「ハッ、申し訳ございませんでした。では本日は失礼させていただきます」くらい言ってのけないと自己矛盾があるんじゃねーの?

昭和24年7月4日に、光クラブが京橋署によって摘発された裏には、山崎のもとに巧みに入り込んだS・Kの情報が発端になった。山本某を通じて京橋税務署が前面に出てなかば強制的に光クラブの裏側を暴いた。二重帳簿のすべてが押収されたために光クラブは事実上活動ができなくなったのである。山崎は検挙されてから拘置所であまりにも内部事情が筒抜けになっているのに驚いた。

税務署と女には気をつけろ・・・メモメモ・・・ダブルでやられるとは、真実は小説より奇なり
私も「また変な女にひっかかってるんじゃないの?」とよく忠告されるのですが、私自身としては女性に騙されたことはないと思っています。私は騙されたことにも気付かない馬鹿男なのでしょうか?

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