第二次タイ攻略 4/15 ソンクランと国歌斉唱

18時から国家斉唱が始まる(毎日流れている)。事前調査では、さっきまで馬鹿騒ぎしていたタイ人たちが騒ぎと水かけ攻撃を一度停止し、全員で国家斉唱するという光景がYoutubeで流されていたのだ。感動の映像をご覧あれ。

http://www.youtube.com/watch?v=RrrBCfgantE&feature=relmfu

中国の指導者たちが喉から手が出るほど欲しい"愛国心"だ。国民の一体感と帰属意識さえあれば、いかなる敗戦、革命が起きようが、国家は消滅しない。タイが、東南アジア全植民地化した第二次世界大戦をも凌ぎ、インドシナ半島の雄で居続けられる最大の強みである。

アメリカのように、胸に手を当てて国家斉唱というわざとらしい作られた愛国心ではない。タイ国民の愛国心は、もっと自然で、国民一人一人にこびりついた無意識上の概念なのである。宗教も同様であり、わざわざ経典を読んで信じるものではなく、普通にお祈りし、手を合わせる単なる習慣である

日本もタイと同様に、強烈な国民の一体感と帰属意識を持っているので、これをうらやましいとは思わないかもしれない。

「あなたは天皇陛下を尊敬しますか?」
「「あなたは日本政府を信じますか?」

こんな無粋な質問にYesと明確に答える国民が少ないくらいに、そして、国家斉唱や愛国心という言葉が疎まれるくらいの"余裕"がある。それは日本の民が、これらの言葉に、わざとらしい作られた愛国心を感じ、拒絶しているからだ。日本人の帰属意識も、もっと自然なのである。例えば、行政サービスの代表である警察。

「財布を落としたら、交番に行っておまわりさんにお金を貸してもらおう」
「財布を拾ったら、交番に届けよう」

こんなのは行政サービスに対する絶大なる信用と実績の証。エマージング諸国(これはタイも含む)のお巡りさんは、私的な罰金で食っているので、「お巡りさんは市民からお金を取りあげる」というのが常識だ。

そして、何度も繰り返していることであるが、通貨・自国通貨に対する絶大な信頼は政府に対する信頼。私は日本国民で日本銀行券1万円札の価値を疑っている者を見たことがない。「政治がダメだ、政府は信用できない」と言いながらも日本に住んで、住宅ローンを組み、円建ての貯金をしているだろう? 総理大臣や日銀総裁が"円高対策"なる言葉を用い、自国通貨を売るような行為を公然と認められるのは、日本人の絶大なる円信奉があるからだ。アメリカ大統領と財務省長官は常に「強いドルを指示する」と言わなければならないのだ。

国民が国家・行政を信用しているというのが、どういうことで、それがどれだけ稀なことであるか。そしてそれが無いアメリカや中国やインドネシアがどれほど、それをうらやましいと思っているかお分かりいただけたところで、タイと日本の最強対決を比較しよう。

日本人はタイ人と比べると、真面目で陰気な性格なので、はつもうで、お花見、祭などが国家的イベントとしてソンクランのような発展を遂げているとは言えない。日本でもタイでも、不真面目で陽気な性格、そしてどちらかというと冷静に物事を深く考えない人の集合、これを一昔前は、ヤンキーと呼んでいたが、ヤンキー気質と祭の相性は日本でもタイでも抜群である。日本は豊か過ぎて、品が良いので、ヤンキー気質が激減してしまい、三社祭参加者に対する刺青批判などに見られるように、祭は衰退の傾向を辿ったのである。ヤンキー・刺青・売春婦・オカマに対する蔑みの意識が存在しないタイでは、祭は今も大きなイベントである。「ハッ!  ハッ! ハァーアッ!」と生き生きと掛け声で煽るYuちゃんは、タイのヤンキーそのものである。ヤンキーというにはかなり高齢ではあるが、ヤンキーの特徴は日本と同じく、派手目の化粧から強気な顔つき、背中にびっしり入ったモンモンから、若くして出産(15歳)まで、共通している。

2日間もソンクランのメッカのシーロム通り、しかも国歌が流れる時間17:00からスタンバイしていたのに、Youtubeで見た民によるタイの国歌斉唱は聞くことができなかった。

昼から町がディスコと化し、外人も参加して大名行列。18時には馬鹿騒ぎを止めて国家斉唱となる予定が、全員そのまま、ずっと馬鹿騒ぎ。17:59に、「この馬鹿騒ぎが突然と止み、国歌斉唱が始まると思うと・・・」と泣く準備で涙ぐんでいた俺は一体なんだったのだ?
タイ人の誰に聞いても 「あん?なにそれ?」って感じでした。なんだか観光できている西洋人と同じノリでな楽しきゃそれでいい みたいな感じだったのがちょっと残念。

「毎日、タイの国歌が18時に流れていますね? ソンクランの日はタイの国民が一斉にそれに合わせて国歌斉唱する姿を私はYoutubeで見たのです。あなたは、どうして国歌斉唱しないのですか?」と楽しいお祭の最中、真顔で問い詰める私は、タイ人にしてみたら、「アナタ 日本人でしょ? ブシドー忘れてマース」って青い目の外人に言われてる感覚で映っていたのかもしれない。

キャバクラで働いているような奴までソンクランの歴史的背景と意義の説明と、国家斉唱をやられたら日本国民として少し危機感を感じたがな。日本と同じ程度の国民意識ということで一安心だ。「ソンクランとは、どういう意味があるのですか?」などと聞いたら、「えーい!」って笑顔で水かけられて終わり。そんなノリである。

ちなみに歌われるはずだったタイ国歌の歌詞(日本語訳)は下記のような軍歌である。

血と肉によるタイの団結
タイはすべてタイ国民に属せり
一致団結 国家の独立永らえん
平和を愛するタイ国民
苦難に屈する臆病者なし
侵されることなき国家の独立
自由のために命を捧げん
タイ万歳 永きに渡る勝利を!

タイのことだから平和な歌詞かと思いきや、立派な軍歌である。これを鑑みても、日本国歌の「君が代」は明らかに歌詞が平和、この平和ボケしてる歌詞は、軍歌や軍国主義とは程遠いものであることを強調しておきたい。「君が代」を軍国主義、あるいは平和ボケなどと誹謗中傷してはならない。「君が代」こそが天皇家と同じくらい貴重で稀少な価値がある日本独自の文化であることを忘れてはならない。タイ人のおだやかな気質とは言え、陸続きの地理的条件から独立と戦争というのは意識せざるを得なかったのに対し、海という自然の要塞に守られた日本がどれだけ平和に過ごしてきたのか考え、そして現在の平和にも改めて感謝すべきことなのである。


夜はそのままタニヤにGo。
Super Queenという店だが、1Fでオカマのママがいる。普段は80人くらいいる嬢もソンクラン中なので、10人とちょっと。料金は変わらず飲み放題で600-200だ。ソンクラン中は早めで23時閉店。普段も24時閉店と少し早めのおじさんターゲット。2時間しこたま飲んで帰宅。

【国民意識と愛国心】
2012.04.24: 美しい国へ 1/3 ~国家が民のためにしてくれること
2011.08.26: マハティール アジアの世紀を作る男1/4 ~東南アジアの雄
2010.09.10: ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず
2009.08.19: インド旅行 文明という環境汚染
2009.07.20: タイ旅行 国土がある、通貨がある、言語がある
2009.01.23: ドイツからのお手紙 銘柄選定における国民性
2009.01.07: ユーゴスラヴィア現代史 ~国家崩壊への道 
2009.01.05: ユーゴスラヴィア現代史
2008.12.08: アラブとイスラエル―パレスチナ問題の構図
2008.10.22: 香港とシンガポールの違い
2008.08.22: Olympicと国家










Track Back

Track Back URL

コメントする

公開されません

(いくつかのHTMLタグ(a, strong, ul, ol, liなど)が使えます)


画像の中に見える文字を入力してください。

このページの上部へ

Ad

LINEスタンプ「カバコ」公開されました!

top

プロフィール

投資一族の長


サイト内検索

最近のコメント

Twitter Updates