ソ連解体後 6/6~大国ロシアの弱点

ロシアの資源の保有と生産で圧倒的優位に立つわけであるが、大きな難題を抱えていることもまた事実である。ロシアの原油及び天然ガス生産の大部分を担っている西シベリア(原油の75%、天然ガスの88%)はロシア経済の中心であるヨーロッパ部から非常に遠く、開発条件と自然環境は共に大変厳しい。そのため石油・ガスの開発・輸送コストが著しく高まるという難題があり、現実に生産が減少し始めている。とくに原油生産の落ち込みが大きく、全ロシア的問題になっている。炭田開発も同じような難局下にあり、資源埋蔵量はあっても、商業的生産が可能な炭田は限られている。ロシアには西シベリア意外にもかなり有力なウラル・ボルガ油田地帯があるが、その中心に位置するのがタタールスタンやバシキールスタンで、両国とも共和国宣言を行って半モスクワ色を強めているのである。ロシア政府は両国の石油生産と販売をよく管理できなくなってしまった。カフカーズ山脈北麓のダゲスタン、チェチェン、イングーシでも少量であるが原油を産出している。しかし、この原油についてもロシアは管理権を失っている。ロシアのもう一つの大きな弱点は農業生産にある。ロシア農業の生産性は旧ソ連の中でも低く、ロシアは15共和国の中で最大の食糧移入国であり、外国からも大量の食糧を輸入していたモスクワやサンクト・ペテルブルグのような大都市、シベリアの工業都市が北方に偏在しているため1年のうち半年は周辺農業に何も頼ることができないという難しさがある。旧ソ連において、主要農産物の一人当たり生産高が大きかったのはウクライナとモルドバで、穀物の単位面積当たり収穫量も高く、穀倉の名に恥じない。バルト三国は食肉、乳製品、ジャガイモの重要生産国で他の共和国への移出国であった。一方カザフスタンは穀物と畜産品、キルギスタンは羊毛、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタンおよびアゼルバイジャンは綿花栽培にかなり特化していた。


1993年発行の本、当時の資源価格ではこういう認識だったんですね。今じゃ中央アジアもカフカスもオイルと天然ガスのパイプラインが中国に向って走っているんだもんなぁ。


非鉄金属資源についても旧ソ連・CISには豊富な埋蔵量があるとみられている。しかし、旧ソ連政府は非鉄金属やレアメタルの鉱石埋蔵量と生産量を国家機密として公表しなかった。旧ソ連・CISはまた貴金属と宝石類の大生産国であり、世界市場の大供給国である。旧ソ連の全ダイヤモンド生産量のほとんど100%と全産金量の10%近くを生産しているサハ共和国(1990年9月まではヤクート自治共和国)の首都ヤクーツクを訪問し「ヤクート金」や「サハ・ダイヤモンド」などの公団・企業で金やダイヤモンドの生産量について質問してみたが答えてくれなかった。だが旧ソ連による大量金売却の噂が流れると世界の金相場は必ず下落し、また旧ソ連政府は国際ダイヤモンド・コンツェルンのデビアス者との間で毎年10億ドルを上回るダイヤモンドを売り渡す長期契約を結んでいた。白金は世界の全生産量の45%を占め、日本ははく金とパラジウムの大輸入国である。また1990年漁獲高は1050万トンで日本のそれを100万トン程度下回っただけである。膳漁獲高の約40%が極東地域で水揚げされている。遠洋漁業が中心であり、近海漁業はあまり発達していない。漁獲量が多いのは、タラ(40%)、鰯(17%)、ニシン(4%')、カレイ(2%)、サケ・マス(1.5%)などである。旧ソ連・ロシアは漁獲量の中からかなり多量を輸出に向けており日本が最大の輸出先である。1990年には104万トンを輸出し、そのうち7万トンが日本向けであった。キャビア生産地はカザフスタンのウラル川の河口付近でフランスの資本が入り大部分はパリへ運ばれているという話である。世界最大の森林資源にも恵まれており、森林面積は9億4500万ヘクタールでブラジル(5億5560万ヘクタール)やカナダ(3億5600万ヘクタール)を遥かに凌ぎ、世界の全森林面積の23%を占めている。広大な森林面積の1/3は極東地域に集中し、その開発は日本と旧ソ連との資源開発強力の重要なテーマとなってきた。極東地域の森林面積の45%はサハ共和国に集中し、次いでハバロフスク地方(26%)、アムール州(10%)、沿海地方(8%)の順と成っている。カラマツ、エゾマツ、アカマツ、ベニマツなどの針葉樹が圧倒的である。旧ソ連の年間木材伐採量はきんんん減少気味で3億3200万立方メートルであり、アメリカの5億700万立方メートルをずっと下回った。木材加工の産業インフラストラクチャーは非常に弱体で、加工品(製材、製紙、合板など)の割合はせいぜい40%にすぎない。インフラストラクチャーを強化し、加工部門を進行するのが重要課題であり、日本と旧ソ連・ロシアとの合弁事業の最も重要な分野になっている。

対東欧経済・貿易関係の崩壊

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旧ソ連そして現ロシアはもともと超資源保有国であり、生産要素は基本的に十分である。したがって経済の自給度は高く、外国貿易の重要性は相対的に低い。日本とは対照的な経済的条件を持つ国である。旧ソ連の首脳達が、欧米先進諸国の工業水準に比べた立ち遅れを危惧し、急速な近代化をはかって西側先進諸国および東欧諸国から多量の機械・設備を輸入したことから輸入の役割が著しく高まったのである。輸出は基本的には輸入を賄うのが目的であり、石油をはじめとする資源輸出がこの目的を実現してきた。旧ソ連の主要な外国貿易相手国は1950~1960年代における社会主義諸国偏在から、1970年代前半における東西デタントの高まりを背景に西側先進諸国との取引拡大へと記帳が変化し、日本との取引も着実に増大した。1980年代における外国貿易の地域別構造を見ると、社会主義諸国との貿易のシェアが55-60%(コメコン諸国が50-55%)、西側先進諸国が25-30%、発展途上国が10%の前後で推移していた。東欧諸国で政治的・経済的激変が起こった1989年以降、旧ソ連と東欧諸国との貿易シェアは44%にまで激減。1991年にさらに24%までに縮小した。コメコン(Communist Economic Conterence)とは西側における通称である。正式にはCMEA(Council for Mutual Economic Assistance)=経済相互援助会議といい、1949年に設立された社会主義国間の経済協力機構である。旧ソ連・東欧諸国(旧東ドイツ、チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニアおよびブルガリア)が第二次大戦後の経済復興と発展に全力をあげて取り組むための相互援助を強化するのが目的であり、西側のマーシャル・プラン(欧州復興計画)に対抗する狙いがあった。ロシア語の略称ではセフと呼ばれ、本部はモスクワに置かれ、後年、モンゴル、キューバ、ベトナムが加盟国となった。

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