税金の論理 4/4 ~付加価値税としての日本の消費税

一国の税金は経済発展のレベルを制約条件として変化する。地租・関税から内国消費税へ、そして所得税へと変遷するのが一般化されたパターンである。しかしある経済発展のレベルに達すると経済的要因は制約条件でなくなる。つまりどの税金でも物理的に徴収可能となり、どのように税制をデザインするかに関し、自由度が増すことになる。経済発展が租税構造の生成にとっての制約でなくなると次に何が主な決定要因になるのであろうか。それは各々の国がもつ歴史・文化・社会的な背景が重要となる。換言すると国民の好みといった属性が支配的になってくる。OECDあるいはEUに加盟している先進諸国は今日、経済的にはどのようなタイプの税金でも実施できる段階に達しているはずである。ところが欧米先進諸国をみるとある一定ルールによって選好する税金のタイプがあることが判る。大ざっぱにいって、ラテン系諸国は間接税をアングロ・サクソン系諸国は直接税を好む傾向にある。いま歴史的に見ていずれが国税の50%以上を占めるかで2つのグループに分類すると次のようになる。

直接税を好む国 アメリカ、イギリス、北欧、ドイツ、オランダ
間接税を好む国 フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル

直接税は個人ならびに法人に対する所得税が中心である。所得税や個人や企業といった納税者が自己の所得を明確にし、税務当局に正直に申告し納税することを前提としている。このためには納税者は原則として、税務当局に所得獲得状況をつぶさに開示せねばならぬ。税負担を公平に課するためには、どの納税者も税務に関し、いわばプライバシーは存在しないことになる。一般的に云ってアングロ・サクソン系の国民は、このような直接税による納税方法のほうが公平で優れていると考えているようだ。所得隠し等の不正を許さないという姿勢に加え、累進税率のもつ公平間が大きな魅力となっていることは疑いない。これに対し、間接税を好むラテン系の国民性は、税務当局に懐具合までチェックされることを好まない。所得が消費される段階で税負担するほうが、より公平だと考えている。たとえばマフィアがアングラ・マネーで脱税を繰り返しながら蓄財しても、その金で高級車を買えば通常は間接税を支払わねばならない。把握の難しい所得を追いかけても、税務当局が100%を押えることは不可能だから支出する段階で課税する方向が公平だいう主張にも一理ある。


直接税と間接税の比率(年度など特に意識しないで色々なところからエキゾの適当調べなのであくまでご参考程度に)

アメリカ 76:24
日本  66:34 (戦前は間接税主体35:65で、戦後押し付けられたシャウプ税制の影響による)
マレーシア  65:35 (歳入の内訳は45.5%と26.4%)
香港 63:37
イギリス 59:41
フランス 53:47
シンガポール 53:47
ドイツ 50:50
インドネシア  50:50 (租税収入は歳入の78%)
タイ 42:58
フィリピン 40:60
中国  25:75

株式市場のあり方からエキゾチック・デリバティブの性向まで、究極の資本主義たるアメリカと共産主義の中国が、直間比率においても同様に対比をなしている。そしてアジア・ヨーロッパがその間にいるが、ヨーロッパがアメリカ寄り、そしてアジアが中国寄りな構造もきっちり現れているw 中国人の持つ資本主義性が局所的に集中している香港がアメリカに次いで高い直接税比率というのも納得だ。日本はやっぱり従来中国の次にアジア的な比率だったわけだから、消費税増税でそんなに怒りなさんな♪ ただ、日本には触れちゃいけない特別会計があるので、これ税金という名が付かない日本政府の間接税的性質を持つ収入源でもあるから、それを考慮すると中国以上にアジア的?

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我が国における根強い付加価値税に対する反発の背後に、1948年から14ヶ月だけ施行された取引高税の悪夢が当時を知る年配の事業者には再来したようだ。EC諸国では付加価値税を導入する一つの重要な理由として、この取引高税を発展的に解消することが挙げられ積極的な支持を受けていた。ところが日本では取引高税の悪玉イメージが付加価値税と重なりその導入の障害となったのは、大きな不幸といわねばならない。

取引高税は、多段階累積型の売上税の一種である。付加価値税と異なり、仕入を控除せず流通の各段階の取引高そのものを課税ベースとする。そのため仕入れにかかる税金が付加価値税のように前段階税額控除されず、そのまま流通段階を経由するため、"Tax on Tax"の現象が避けられない。この結果、取引階数を少なくするほうが税負担を軽減されるので、企業の垂直的統合が促進された。シャウプ勧告においても「取引高税は、売上税のうちでもっとも洗練されてないものの一つである」と評価され、無条件で廃止が主張されていた。

まず第一に、取引高税は当初印紙納付であった。事業者は印紙を事前に買い求めておいて、それを顧客に渡す領収書に張るという形式を取っていた。納税がちゃんと行われているかどうかは印紙を正しく領収書に貼り付けられているかに依存する。このチェックを税務署員が客を装ったりして絶えず行い、違法を摘発したので社会的に大きな反感を買うことになった。第二に、当初採用された印紙納付は悪評判のため、中途より現金による申告納税に切り替えられた。しかしこれが納税手続き煩雑にした。第産にこの取引高税は当時横行していたヤミ価格の摘発と関連していた。申告に際して当然に、事業者の売上額、売値もチェックされる。この結果、ヤミ価格が税務署に把握される心配が生じ、当時の世相としても取引高税へ恨みが転じた点もある。

さあ、もう一度繰り返そう。税金は"取られる"ものではなく、「納める」ものである。このブログ読者は源泉徴収ではすまない給与所得で、確定申告している人も多かろうから、"納める"意識はある人が多いのかな?
消費税・所得税は、先進国の証! 安定した経済基盤とインフラストラクチャーでこそ成り立つ税制である

ということで、皆さん、日本居住の国民として積極的に所得税・消費税を納めましょう!

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