ハイエク マルクス主義を殺した哲人 1/3~全体主義とナチス

これ、日本人読んだほうがいいかも。

『隷属への道』の読み方 19世紀の後半からのおよそ100年間、世界で最も社会的影響力が大きかった本はマルクスの『資本論』であり、20世紀の中ごろから後半にかけて最大の影響力を及ぼしたのはハイエクの「隷属への道」だったのではないかと思います。別の言葉で言えば、世界に対して100年間に及ぶ大マインド・コントロールをかけたのがマルクスであり、そのマインド・コントロールを解くのに最も大きな貢献をしたのがハイエクである、といえるのではないでしょうか。

今日において社会主義とは、もっぱら課税という手段を通じて広範囲な所得の再配分を行うこと

「隷属への道」を執筆した時期、つまり戦争中においては、社会主義は生産手段の国有化と中央集権的経済計画化を意味していた。しかし、1976年の時点では生産手段、つまり産業の国有化の非効率はすでに広く認められるようになって、その方向へ進む危険はなくなったが、今度は課税という手段によって広範な所得の再配分を行うことを意味し、また福祉国家の制度を意味するようになってきている、とハイエクは言います。そして、社会主義的な政策の原理を改めないかぎり、その政策が良かれとやっている人が望みもしなかったような不愉快な現実がやってくるだろうと警告を発しています。

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イギリスが15年、20年の時差をおいて、ドイツの社会主義化のあとを追っている。第一次大戦に先立つ約30年の間のドイツの思想と実践が、そのころのイギリスの思想や政策に深い影響を与えたと、ハイエクは指摘します。ドイツにおける社会主義政策は非常に早く、19世紀後半のビスマルクの時代から始まっています。それが第一次大戦の敗戦後、いっそう強くなりました。そのドイツを考えればイギリスの未来がわかる。これは、学問・思想の面でドイツがイギリスやアメリカのアングロ・サクソン文化圏より圧倒的に進んでいたということです。19世紀の終わりごろから20世紀の第一次大戦ごろまでの間、ほとんどあらゆる分野においてドイツの学問が傑出していたと言ってもいいでしょう。英語学にしてもまともな英語学の8割くらいはドイツで研究されていました。極端なことをいえばシェークスピア研究までドイツが先んじていました。ドイツ人は昔「ウンザー・シェークスピア(われらがシェークスピア)」といっていたくらいです。

全体主義体制を樹立させた思想上の傾向は全体主義に屈したドイツのような国だけにあるのではなく、イギリスも着実にそちらのほうに向かっており、戦争に連合軍が勝ったときには、この基本的な問題に直面しなければならなくなる、とハイエクは予言しました。そしてこの予言は的中し、まさにハイエクがここで指摘したことが戦後のイギリスで起こりました。すなわち、労働党が勝って政権を握り、私有財産廃止のほうにば驀進したのです。「マクミラン報告」とは1931年に出たもので「人々の生活に対する管理を政府の第一の任務とみなすようになっている」「議会はコミュニティの日常的な事柄に対する統制を、その意図的な目的としてますます立法するようになってきており、以前には議会の検眼が及ぶ範囲内には、全く属していないと考えられていた様々な事柄にも介入するようになってきている」といった内容が記されています。この報告が出た1931年後半から39年にかけての8年間に、イギリス経済体制は全く異なったものへと変化したと、ハイエクはいいます。このイギリスに起きた変化を徹底的に追及すれば、ヒトラーやムッソリーニやスターリンになるわけですが、イギリスで1931年の段階でその変化が起こっていることに、我々は注目すべきでしょう。

ナチスの指導者が「国家社会主義は反ルネサンスだ」といったのは的確で、ナチスはルネサンス時代以来、西欧が営々として築いてきた個人主義文明というべき西ヨーロッパの文明を崩壊へ導く決定的な一歩だったとハイエクはいいます。個人主義は西欧近代文明の基盤だというのがハイエクの立場です。個人主義がエゴイズムだとかエゴセントリズムと混同されることで間違ったイメージが付加され、「皆でやりましょう」という集産主義-コレクティビズム-のほうがいいという方向に流れているところに、ハイエクは最も危険を感じました。

また、自由主義社会を発展させる重要な課題として、「貨幣制度」と「独占」をハイエクはあげています。これは依然として最大の問題であり続けていると思います。私が直接お話を伺ったとき、どの国でもどんなお金を使ってもいいという条約を作ったらどうかと、ハイエクは言っていました。そうするとどうなるか。戦後、ヨーロッパでは社会主義的な政策が強く、どこの国もインフレに悩んでいました。そういう無茶な政策をやっている国の通貨は暴落しますから、誰もそれを持ちたがらない。どこの国でも自国の通貨を持って欲しいから通貨の価値が下がらないように慎重な配慮をしなければならなくなる。通貨の価値が下がらないようにするにはどうするかというと、インフレ政策をとらない、そういう国が勝つわけです。つまり、社会主義的政策をしない国が勝つと言うことです。どこの国でも自由にどこの国の通貨を使ってもいいという話が、今、ヨーロッパでは現実にそうなりつつあります。

> ユーロの出現の予言というより、良貨とは何であるかを先んじて考えていたのだな。

2015.03.16 仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 7/7~貨幣の非国有化

で野口悠紀雄さんの抜粋を読むかぎりでは、ハイエクの言っていることがおかしいように思えたのだが、予想通り、この本で読むかぎり、ハイエクの言っていることはうなずけることばかりだ。

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